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2020年6月号『念ずる』

コロナの折ですがみなさま方にはいかがお過ごしでしょうか。

亡くなられた方々、罹患された方々に謹んでお悔やみ、お見舞い申し上げます。

街中では至るところに消毒液が設置されています。感染から守ろうと積極的に手をかざして消毒をするのが日常になりました。マスクをしていない人が来ると思わず顔をそむけたくなります。

先日行った歯科医院では体温を測られ体調のアンケートに答えさせられました。感染を疑われているように感じました。いやむしろこれが普通だったのです。私もまた他人から見れば十分に注意に値する者でした。

しかしこんな折だと余計に他人の身勝手な振る舞いは目につきやすく批判したくなるものです。

お釈迦様のことばに

「他人の邪曲よこしまを観るなかれ、他人のこれを作し、かれの何をさざるかを、観るなかれ、ただおのれの何をし、何を作さざりしを、想うべし。」

とあります。

 他人のあら捜しをするよりまず自分自身と真剣にむきあうことが大事との格言です。

今回の自粛生活の中では新たなご自分を発見された方も多いかと存じます。

 今まではあまり気にならない方のことが思い出されたり、亡くなられたあの方のことが浮かんだり。

他人と会わない分だけ私たちの想いはふくらんでゆくのかもしれません。それをこれからどうなるのかという思いとが相まって不安な方も多いかもしれません。

しかし私はこの想いこそが仏さまを感ずる好機でもあると存じます。

静かに自分と向き合った結果、仏さまと会えたような気がする、不安の中にも私をまも生かせてくれる仏さまの存在が確かめられた、

そんな声が多数あると存じます。

それもそのはず、仏さまは私たちがこんな気持ちになることをずっと昔から待っていてくれたからにほかなりません。

 南無阿弥陀仏とおとなえいたしましょう。

阿弥陀佛の救いが私たちに、そして日常を取り戻すために尽力している方々に及ぶことを願うばかりです。

来月はお盆月です。ご先祖さまが大切な方々が私たちのもとに帰ってくれます。

お寺でも感染防止のため今年の棚経は新盆のご霊位など一部を除き本堂でのご回向といたします。詳しくは本紙のご案内をご覧ください。

大変な時代ですが大切な方のお盆をお迎えする私たちのお念仏のこころは変わりません。いつでも、どこでも、どなたでもおとなえ続けて参りましょう。

良光院 住職 清譽芳隆

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